sale

前項で、できるだけ業績の良くなりそうな会社を投資対象にしましょうということを書いてきましたが、仮に業績が上がる銘柄を買っても思うように株価が上がらないこともあります。
原因はいろいろと考えられますが、良くあるのが株価が高いところで買ってしまったというケースです。

株やら業績やらで分かりずらい面があると思うので、洋服の例で説明してみましょう。

スーパーで売っている服(定価3,000円)と百貨店で売っている服(定価30,000円)の2つの服があります。
どちらの品質が良いでしょうか??もちろん、百貨店の服ですよね・・・

しかし、スーパーの服(定価3,000円)を1,000円で購入した場合と百貨店の服(定価30,000円)を300,000円で購入した場合はどちらがお得でしょうか??
多くの方は、スーパーの服と答えるのではないでしょうか?

業績が良くなる銘柄=百貨店の服と考えていただければ、必ずしも、業績の良くなる銘柄を買えば良いというわけではないということがわかっていただけるかと思います。
肝心なのは、お買い得と言える水準で買うということなのですが、残念ながら、株価には定価というものは存在しません。

そこで、株式投資の世界で、お買い得(割安)かどうかを判断するために良く使われるのが、これから説明するPERとPBRです。

 

PER(株価収益率)

Price Earning Ratioの略で、(株価)÷(1株あたりの純利益)で計算されます。

簡単にいうと、純利益1円に対して何円の株価がついているかということを示しており、値が低い方が割安です。
ただし、赤字(純利益がマイナス)の場合は、指標としては使えません。

2016年11月現在の日経平均株価のPERは15倍程度で、歴史的にも15倍近辺で推移することが多いです。
なので、15倍より低ければ、やや割安、もう少し厳しく見て10倍より低ければ割安とおおむね考えられますが、業界によって傾向があるので、同業他社と比較して割安かどうかを判断すると良いと思います。

なお、PERに使用される純利益は、その期限りの特別な利益や損失が含まれていることがあり、その場合は異常値が出てしまうので、注意が必要です。
また、多くの場合、会社が予想した今期の純利益が計算に使われている(予想PERと呼ばれています。)ので、業績が予想通りに推移しなければ、PER自体も実態を示していないことになります。

そのため、売上や経常利益など直近の業績の推移と組み合わせて活用するとより良いでしょう。

 

PBR(株価純資産倍率)

Price Book-value Ratioの略で、(株価)÷(1株あたりの純資産)で計算されます。

簡単にいうと、純資産1円に対して何円の株価がついているかということを示しており、値が低い方が割安です。

一般的には、PBRが1倍のとき、株価が会社の解散価値に等しいとされ、1倍以下だと割安株と考えられます。
この指標もまた、業界によっても変わってきます。例えば、金融のように主に他人の資本で商売をする場合は、高くなることがあります。

注意する点としては、PBRは資産の内容を考慮せずに計算されているということです。
資産にも、現金、土地、機械、在庫など様々あります。現金は良いのですが、土地、機械、在庫などはすぐに現金に変えられないですし、実際には決算資料に書かれている価格より低い価値になることもあります。

そのため、PBRの値は目安として考え、その後、資産の内訳を決算資料で確認したほうが良いでしょう。

 

なお、PER、PBRは、株を分析する指標の1つではありますが、絶対に見ないといけないわけではなく、投資手法によって重視するかどうか異なってきます。

具体的には、割安の株を買って割安の状態が解消された高値で売ることで利益を出すことを目的としたバリュー投資で、PERとPBRは重視されます。
企業の成長を重視するグロース投資やチャートの形を重視して売買するテクニカル分析などの投資手法では、PER、PBRはそれほど重要ではありません。

 

【キーワード】

割安株(わりやすかぶ)・・・PER、PBRなどの投資指標から市場の平均と比べて、割安と判断される株。

PER(ぴーいーあーる)・・・Price Earnings Ratioの略で、1株当たり純利益の何倍の値段が付けられているかを見る投資指標。

予想PER・・・今期の利益予想値を基に計算されたPER。直近の実績ベースの利益を基に計算されたPERは、実績PERと呼ばれる。一般的には、PERと言えば、予想PERのことを指す場合が多い。

PBR(ぴーびーあーる)・・・Price Book-value Ratioの略で、1株当たり純資産の何倍の値段が付けられているかを見る投資指標。

 

ここまでに、銘柄分析の方法の例として、配当利回り、業績、PER、PBRについて見てきました。

事項では、スクリーニングを用いた銘柄探しを具体的に説明します。

スクリーニングに進む