ここでは、利回り以外のチェック項目として、業績、PERと株価の推移を取り上げます。
例として、前項で利回りを計算した2銘柄についてチェックしていきます。
(株価等の情報は、2016/12/16の終値で算出しています。)
<業績、PER>
業績が株価に与える影響は非常に大きいので、直近数年の業績の推移を確認します。
業績がどんどん伸びていく銘柄を選ぶのがベストですが、利回りの高い銘柄を選んで長期保有するという投資なので、業績が安定している銘柄を選んでも良いでしょう。
また、株価の水準が業績にたいして割高になっていないかをPERで確認します。
①(1726)ビーアールホールディングス
売上 | 営業利益 | 経常利益 | 純利益 | |
2013/3 | 19,182 | 547 | 351 | 269 |
2014/3 | 19,971 | 711 | 602 | 451 |
2015/3 | 20,629 | 812 | 766 | 468 |
2016/3 | 20,816 | 508 | 455 | 472 |
2017/3 (予想) |
23,000 | 870 | 800 | 580 |
業績については、売上、純利益は右肩上がりですが、2016/3の営業利益、経常利益が落ちていることがやや気になります。
ただ、今期(2017/3)の数字がかなり良く、全体的に見て、やや良いと考えて良いと思います。
PERは、13.83倍と特に高くもなく、低くもなく、普通です。
②(3099)三越伊勢丹ホールディングス
売上 | 営業利益 | 経常利益 | 純利益 | |
2013/3 | 1,236,333 | 26,639 | 34,217 | 25,292 |
2014/3 | 1,321,512 | 34,646 | 38,440 | 21,166 |
2015/3 | 1,272,130 | 33,083 | 34,563 | 29,886 |
2016/3 | 1,287,253 | 33,107 | 36,704 | 26,506 |
2017/3 (予想) |
1,250,000 | 24,000 | 25,000 | 13,000 |
業績については、比較的安定しているのは良い点ですが、今期の数字がかなり悪く、全体的に見て、やや悪いです。
PERは、41.91倍と高いです。
<株価の推移>
直近数年間の株価の推移を確認します。
投資手法によって、どういう動きをする銘柄が良いかは異なるのですが、ここでは優待銘柄に長期投資するという手法を取っているので、激しく値動きしない銘柄であることが望ましいです。
また、数年の株価の推移を確認することで、値動きの傾向や癖を見出すことができるケースもあります。
(例えば、夏に株価が下がって冬に株価が上がる傾向があることがわかれば、夏に株を買うようにするなどのアイデアが浮かびます。)
ここでは、1ヶ月前、1年前、3年前の株価を表にしていますが、実際は、株価チャートで確認するほうがわかりやすく、かつ、手っ取り早いです。
①(1726)ビーアールホールディングス
時期 | 2013/12/16 | 2015/12/16 | 2016/11/16 | 2016/12/16 |
株価 | 112(※) | 158.5(※) | 228 | 239 |
※2016/9/28の株式2分割を考慮しています。
2016/4頃に株価が急伸しましたが、現在は落ち着いています。数年で見ると、上昇基調の動きになっています。
②(3099)三越伊勢丹ホールディングス
時期 | 2013/12/16 | 2015/12/16 | 2016/11/16 | 2016/12/16 |
株価 | 1,394 | 1,624 | 1,215 | 1,391 |
極端に激しい動きをする銘柄ではないので、優待銘柄としては問題はなさそうですが、チャートで確認すると直近1年間の値動きがあまり良くないのが気になるところです。
<まとめ>
ここまでの分析結果を表にしてまとめます。
分析する銘柄数や項目が多くなり、頭の中では整理しきれなくなってきたときは、表にしてまとめてみると良いでしょう。
利回り | 業績 | PER | 株価の推移 | |
ビーアールホールディングス | 5.23 | やや良 | 13.83 | 問題なし |
三越伊勢丹ホールディングス | 3.02 | やや悪 | 41.91 | 下落傾向あり |
表を見ると、ビーアールホールディングスのほうは、なかなか良さそうに見えます。
三越のほうは、業績悪化とそれに伴う株価の下落傾向が痛く、いまいちという印象ですが、業績が回復すると読めるのであれば、投資しても良いという感じです。
なお、ここで取り上げたチェック項目は一例であって、他にも追加でチェック項目に加えたほうが良いという考え方や逆にチェック項目を減らしても問題ないという考え方もあります。
(チェック項目についての考え方は、第5章の最後に補足として触れます。)
これで、気になる銘柄についてのチェックは終わったのですが、次に、他の銘柄と比べて魅力のある銘柄になっているのか?ということを調べていきます。